高野山麓精進野菜
土作りと品質管理にこだわった、体と心にやさしい美味野菜

高野山麓精進野菜® の取り組み

高野山麓精進野菜® の取り組み

高野山麓で長年にわたって栽培されてきた野菜の価値を再発見するべく、いま和歌山県橋本市を中心として、高野山麓精進野菜®としての取り組みを行っています。数年前からはじまったこの取り組みでは、長い間この地域で野菜栽培にたずさわってこられた農家さんや営農指導員から栽培ノウハウをヒアリングさせていただいたり、また土壌改良や肥料生産についての有識者からの意見も交えて、中山間地農業の抱える大きな課題から野菜栽培の方法論にいたるまでの一つ一つに、根気よく丁寧に向き合ってくることができました。

ここでは、これら一連のアプローチについてご紹介いたします。

歴史の灯りを消してはならない

和歌山県橋本市をはじめとして高野山を囲む一市三町(高野町、九度山町、かつらぎ町)では、いま耕作地の減少が止まりません。これまで千二百年以上にわたって、地場野菜を高野山へ奉納してきた歴史が、このままの状況が続くと近い将来に失われてしまいます。歴史の灯りを消してはならない という想いは、この取り組みにたずさわる誰もが感じていることでした。

また先人たちが残した貴重な農業資料が、年月の経過や記憶の風化とともに消えゆくことも、同じように喫緊の課題でもあります。古くから農業を営んでこられた生産者のなかには、先代から受け継いだ栽培のノウハウをもっておられる方がいます。それらはノートに記述されているものもあれば、断片的なメモや口伝だけのこともあります。令和に生きるわたしたちはこれらの知恵を集積して、高野山麓における栽培の歴史を紡いでいくために 過去を知る必要がある と考えています。

「美味しい」とは何なのか

わたしたちは 高野山麓精進野菜® の取り組みにおいて、一体その何が美味しいのかを見つめ直すことからはじめました。その結果として高野山麓精進野菜®では、効率を重視するだけの栽培や素材そのものの味や栄養をそこなうような栽培は避けるべきだと考えるに至ったのです。具体的にいえば、化学肥料と農薬を少なくしたい という想いです。

そもそも食物は人間の手がなくとも生命を育みます。余剰に添加するチッ素成分などはできるだけ低くおさえたほうが素材本来の味を高めることになるので、わたしたちは手間暇かけることを厭わずに栽培することを選択しました。そして栽培期間中の農薬についても、できるだけその使用を減らせないか、耕作地の地力と相談することにしました。

土作りへの取り組み

もともと高野山麓は紀伊山地から流れ出る紀の川の中流域に位置していて、ミネラル分を多く含んだ土壌は肥沃だといわれています。しかしながら耕作放棄地など耕作が止まって荒れてしまった土地においては、ふたたび栽培ができるまでに回復させようとすると多くの困難を伴います。また毎年つづけて栽培をするような耕作地においては、連作によって低下してしまった地力を回復させるために大量の化学肥料を使ってしまうようだと、ひいては野菜の生育が芳しくありません。

このように 野菜としてのクオリティを保ちながらも安定的に生産する というのは、それだけで難しい試みだといえます。くわえて化学肥料と農薬を少なくするためには、栽培に際して使用するチッ素成分と農薬を低減させながら、一方では耕作地の土壌を栽培に適した状態にまで作り上げていく必要が出てきます。これらの相反する現実的な課題を解決するために、わたしたちは幾つもの試行錯誤を続けてきました。たとえば地元の食物残渣(ざんさ)などを元にして作り上げた土作り肥料などは、より地元に即した条件で栽培したい という、高野山麓精進野菜® の想いがこもった結果でもあります。

このような取り組みは、まだまだ道半ばでもあります。日々あたらしい課題とも直面しています。でもそれこそが 高野山麓精進野菜® の現在地ともいえます。わたしたちはこれからも美味しい 高野山麓精進野菜® をお届けするために、目の前の課題に一歩ずつ取り組みつづけます。